2017年2月13日月曜日

音楽理論的に正しい料理教室(3)とうがんのスープ

 料理が苦手だと自覚している方のほとんどに共通していることは、味をちゃんとつけようとするところです。味なら素材にすでについています。調味料は、文字通り味を調えるものです。肉なら肉の味にすべきであって、めんつゆ味の肉にしてはいけないのです。
 前回の豚丼の豚はサブドミナントと説明しましたが、ご飯の上ではなく別皿に盛れば、豚はトニックです。豚肉はご飯にとって下属調の関係なんですね。ご飯が主調です。主食とも呼ばれています。あくまでご飯を美味しくたべるための肉。肉とご飯を美味しくたべるための、めんつゆです。このTとSとDの力関係と栄養バランスを習得しましょう。


 鶏肉と冬瓜のスープを作りました。
 鍋に水をはって、適当に切った鶏もも肉と冬瓜を適当に放り込んで、気が済むまで適当に茹でてください。鶏の皮は食べなくても結構ですが、茹でる際には一緒に入れましょう。ここから機能が出ます。機能と一緒にアクも出るので丁寧に取り除いてください。大事なポイントはそれだけです。最後に、おたま一杯のめんつゆをぐるりひとまわしして、塩をひとふりすれば出来上がり。
 写真を準備している間に水菜がしなびてしまいました。すみません。
 いつものようにアナリーゼすると、スープですからめんつゆがトニック。鶏肉と冬瓜がなかったら、ただのお湯でうすめためんつゆにすぎません。よって、うま味を出す鶏肉がドミナント、うま味を吸う冬瓜がサブドミナント。結果、美味しいスープになってトニックに解決。めんつゆは豚丼ではドミナントでしたから、汁物はご飯にとって属調の関係なんですね。
 となると、属調のドミナントである鶏もも肉はご飯から見ればドッペルドミナントであると分析できます。むね肉で作ると少々切なく、短調II度の味わいになるでしょう。

 剥いた冬瓜の皮は、他の料理で剥いた人参と大根の皮といっしょにごま油と鷹の爪で炒めてきんぴらに。茹でている最中のスープと、めんつゆを、それぞれおたま一杯くらいずつかけて味付け。もう一品には、昨日のおさらいとして冷奴を添えました。
 すべてめんつゆです。でも、びっくりするくらい味が違いますよ。