2017年2月12日日曜日

音楽理論的に正しい料理教室(2)豚丼

 料理が苦手だと自覚している方のほとんどに共通していることは、なにかものすごく手をかけないと料理じゃないという暗示にかかっていることです。でも、ピアノをはじめて1ヶ月の3歳の子がラフマ2番を弾くことはできません。まずは豆腐にめんつゆをかける。これで冷奴という一品である。そういう小さなエチュードの積み重ねを大事にしましょう。

 さて、冷奴をアナリーゼすると、豆腐がトニック、めんつゆがドミナントですね。
 めんつゆで豆腐がさらに美味しくなってトニックに解決。上に乗せるねぎや生姜はサブドミナント。素材自体は変わらないので、このドミナントやサブドミナントのバリエーションが多く持てると、レパートリーも自然と増えてきます。冷奴の場合、III度のドミナント的用法で、めんつゆのかわりに塩をふって熱したごま油を、じゅう、とやっても美味しいですよ。お好きな方はパクチーなどをサブドミナントに使うと、さらに奥行きが出るでしょう。


 お昼に豚丼を作りました。
 カデンツの構造は冷奴と変わりません。ごはんがトニック。焼いた豚肉は、ここではサブドミナントです。ただ焼いてコショウをふっただけ。ドミナントのたれはめんつゆにみりんを足して煮詰めたもので、ものの数分で出来ます。豚を焼いたフライパンでそのまま作ってしまえば洗い物も増えません。よそって乗せてかけただけ。なのに、人様に出しても充分喜ばる一皿です。
 今日のごはんは麦と玄米を混ぜて炊いたものだったので豚肉と色が同化していますが、脂の多い肉を食っているのに健康志向ぶれる偽終止になりました。