2017年2月8日水曜日

お前の仕事はなんや その2

 音楽界隈の収まる気配がないですね。
 「この話って家に泥棒が入って来ない様にセキュリティ頼んだら、友達が遊びに来ても阻止された。みたいな話だよね」と、連載のイラストを描いている緒裡君が言っていました。
 上手いことを言うものだと思いました。

 著作権、著作者人格権のような語については、お詳しい方が解説されているので、ここで繰り返すことはしません。それはJASRACを通さなくても「ある」ものです。信託の契約を結び、財産としての著作権をまるごとあちらにお預けすることで、彼らは彼らの根拠を得ています。よって、作曲者本人といえども自分の作品を自由に使うことはできません。これは「おかしい」ではなく、そういうものです。銀行の中にある定期預金と似たようなものと思えば想像しやすいかもしれません。
 けれども、自分の把握している件数より少ない、自分の把握している分配がない、となると、それを僕も経験したわけですが、財産を預けている側としては非常に感じが悪い。「何をやっているんだお前らは」という気持ちにも当然なります。定期預金につくべき利子がついてなかったら皆さんも窓口でキレるでしょう。「忘れてました」とか言われたら解約するでしょう。パチンコ屋で静かに毎日10万20万を落としていくおばちゃんがバイト君の粗相にブチ切れて「命の次に大事な金をなんだと思っているんだー!」と叫んだ場面に遭遇したことがありますけど、そんな感じです。

 システムを構築すればあっという間に解決する問題を、いまだに手書きの作品届でのたのたやってて、しかも分配漏れがある。人様の財産を預かっている立場でそれはいかがなものなのか、というのが、ファンキー末吉さんが提起しているあたりでしょう。そうした現状で、音楽教室から一律の金額を徴収して、それを作曲家に分配できるとは、やはり想像しがたいです。全国放送で使われた僕の作品の分配すらできてないのに。先にやるべきことが他にあるんじゃないかなあ、と思いますが。

 音楽のあり方というのは日に日に多様化しています。
 その拡がっていく現場に対応しようと、すでにある古い規則に新しい規則を乗せていくと、ただ単に不自由になって身動きが取れなくなるだけですよね。音楽そのものは限界を迎えているとは思いません。その「古い規則」が古くなって根腐れしているだけで。逆の発想を持てば良いのに、って思いますが、残念ながら僕は色男なので、それを言う金と力が無いのであった。

 現実的に必要な制度ですし、運用のためには組織も必要でしょう。僕は個人的な理由でカチンときてタンス預金に切り替えましたが、潰れたら路頭に迷う人はたくさんいる。人様の命の次に大事な財産を預かっているという立場にあるんだから、頑張っていただきたい。だからいい加減気付いたほうが良いですよ、みんな作曲家に使用料を払うのがイヤなんじゃない。「生徒の前は公衆」とかいう屁理屈をこねだす性格を何とかしろよ、と言いたいだけなんだと。