去る5月30日。日本橋公会堂にてオペラ「卍」の再演が行われました。
オペラ「卍」全3幕
作曲・脚本 西澤健一
原作 谷崎潤一郎
演出 榊原利彦
キャスト
徳光光子 新宮由理
柿内園子 津山恵
柿内考太郎 横山慎吾
綿貫栄次郎 岡元敦司
演奏・室内アンサンブル・ラボ
薄田真希(フルート)
石井由紀(オーボエ)
木原亜土(クラリネット)
木原英土(ホルン)
三ツ木摩理(ヴァイオリン)
佐藤茜(ヴァイオリン)
力久峰子(ヴィオラ)
榊原糸野(チェロ)
米丸咲季子(ピアノ)
指揮・佐藤宏充
再演にあたり 西澤健一
部屋でひとり、この世には実在しない恋人たちの情熱に耳を傾けていた頃、仲間の尽力と聴衆の皆様の声とに支えられ、早くも半年後には再演の日を迎えられることになるだろうとは全く想像しておりませんでした。改めて皆様に感謝を申し上げます。
この度の再演にあたり新たに得られた才能の力、すなわち、オペラに熟達した佐藤氏の指揮、様々な演劇の技術を網羅する榊原氏の演出によって、私もまだ「卍」の全てを知らずにいたことに思い至りました。私たちの言語で、私たちの手によって、ひとつの舞台を編むとはなんと幸福な営みでしょうか。今日ご覧の皆様方にも(あまり仕合せとは言えない愛憎を描いた物語ですけれども)どうか、その幸せが伝わりますように。
第一幕。光子(新宮由理) と園子(津山恵)の二重唱。
第二幕の四重唱。左、綿貫(岡元敦司)右、孝太郎(横山慎吾)
第三幕冒頭。孝太郎を誘惑する光子。
第三幕最後、三人の服毒心中(写真=堀江男二)