新垣隆:交響曲「連祷」、ピアノ協奏曲「新生」他
推薦 「騒動」で広く世間に知られることとなった新垣隆が改めて世に問う新作群を収録。確かな技術と幅広い知識を持つ作家として若き日より一目置かれる存在だった彼の複眼的な作曲姿勢は昔から少しも変わらない。ただ、ジャンルとしての「現代音楽」を究めるよりも「同時代の音楽」を創造したいという想いに、彼は正直になった。音楽史は聴衆の選択の結果であるという事実に身を委ね、手持ちの膨大な選択肢からたったひとつを選び、そこに署名した彼の勇気は讃えられるべきである。福島公演時のライヴ録音。東京室内管も東京公演時よりいっそう熟れて、音楽によくついてきているが、彼の指揮には、いかにも自作自演らしい「照れ」が少しある。(『音楽現代』2017年2月号掲載)